立ってられない

急停車より、

もっと揺れるかも

歯周病になると、歯がグラグラする理由を解説します!

歯周病になるとなぜ歯がグラつくのか?

健康な人では、歯がグラつくことはほとんどありません。それでは歯周病にかかるとなぜ歯がグラつくのでしょうか。歯は健康な歯茎(歯肉)と骨によって支えられています。

歯周病はお口の中の細菌と細菌が産生する物質(毒素)が原因となって歯を支えている骨が溶ける病気です。歯周病が進行すると骨が溶けてゆき歯のグラつきが大きくなり、最終的には歯が自然に抜けてしまうこともあります。

そのため、原因となる細菌を検査することと同時に歯のグラつき度合と歯を支えている骨の状態をX線写真で確認します。

歯のグラ付き度(歯の動揺)

病的な歯の動揺は、診断や治療計画に影響を与えるため、歯周治療では重要な検査項目の1つとなっています。その評価は、以下に示す分類で行います。

0度:生理的動揺範囲(水平方向へ0.2mm以内で歯に動きがあります)
1度:軽度の動揺(水平方向へ0.2~1mmぐらいの歯の動きがあります)
2度:中等度の動揺(水平方向へ1~2mmぐらいの歯の動きがあります)
3度:重度の動揺(水平方向へ2mm以上または垂直方向への歯の動きがあります)

歯は歯周病にかかっていなくてもわずかにグラつきます。これを生理的動揺と言います。0度のことです。

歯に力が加わると歯のグラつきが加速します。

噛み合わせが悪いことや噛む力によって、一部の歯に不自然な強い力が加わり、歯が削れたり、かけたり、割れたりすることがあります。

細菌によって生じた歯周病の症状(特に歯のグラつき)を悪化させることがあります。噛む力によって歯周病が悪化し骨が溶けるだけではなく、歯を支える骨が溶けた状態になると歯を十分に支えることができなくなり、噛む力は変わらなくてもグラつきが大きくなることもあります。

したがって、歯周病の治療では歯周病の原因となる細菌のコントロールが重要ですが、噛み合わせの状態を確認することも必要です。噛み合わせは、少し歯を削って調整できる場合もありますが、人によっては噛み合わせを治すために矯正治療が必要なもあります。

歯がグラつくもう1つの原因は、食いしばりや歯ぎしりです。食いしばりや歯ぎしりは歯に強い力が長時間かかるため、歯を支えている骨に強い力が加わります。歯肉や骨に炎症があれば、歯周病が進行し歯がグラついてきます。この場合は多数の歯が少しずつグラつくことがあります。

睡眠時に、口を閉じるときに働く筋肉が強く収縮し歯軋りや食いしばりが生じます。特に昼間のストレス喫煙や飲酒などにより睡眠が浅くなると歯ぎしりや食いしばりを生じやすいと言われています。

またスポーツ中やパソコンで仕事をしていると無意識のうちに食いしばっていることもあります。

1の歯は2度の動揺 2の歯は1度の動揺があります

歯ぎしりが強く、歯が欠けたり、歯がグラついたりしています。

歯がグラつくとどれくらい歯周病は進行しているの?

歯周病の進行状態は5段階に分けることができます。

  • 健康
  • 歯肉炎
  • 歯周炎(軽度)
  • 歯周炎(中等度)
  • 歯周炎(重度)

歯がグラついてくるのは歯周病の進行度でいうと中等度以上です。歯がグラつき始めたら歯周病が進行している、と受け止めてください。

歯肉には問題ないように見えますが、2度のグラつきがあり歯周炎の進行度は中等度です。

歯周病で歯がグラつくと抜歯しなければならないのか?

必ずしも抜歯しないといけないわけではありません。歯のグラつき具合によって、歯周治療でグラつきを改善できる場合もあります。

中等度(骨が半分ぐらい溶けた場合の治療法)

歯周病で歯の周りの骨が半分ぐらい溶けると歯がグラつき始めます。歯の周りの汚れや歯石を取ると歯肉が引き締まり、歯のグラつきが少なくなってきます。部分的に骨が溶けてきた場合には、骨を再生する治療を行う場合があります。

重度(骨が2/3程度溶けた場合の治療法)

歯の周りの骨が溶けて1/3程度までになると歯のグラつきが大きくなります。グラついている歯は咬むたびにグラつきが大きくなるから、連結冠などで繋ぐ永久固定、前歯の場合は接着剤で繋ぐ暫冠固定が行われます。また、骨を再生する治療を行います。

骨がほとんど解けてなくなった場合の治療法

歯周病が進行した歯をいつまでも残しておくと、隣の歯を支えている骨に炎症が広がって隣の歯もグラついたり、骨の形が悪くなって、抜歯後の治療(たとえばブリッジ、入れ歯やインプラント治療)が困難になることがあります。

歯ぎしりで根が割れてしまった歯の治療

歯ぎしりで根が割れてしまった場合、抜歯せざるを得ません。ただ破折した部位や破折した形態によっては、残せる場合もあります。
歯周病治療段階で歯を抜かざるを得ない場合をまとめてみると、

  • 対症療法を行っても,過度の動揺により、痛くて噛めない場合
  • 十分に歯石やプラークなどが除去できない,あるいは暫間固定ができないほど進行した場合
  • 治療中頻繁に歯肉が腫れてきて膿が生じ,広範囲の歯周組織が破壊される原因となる場合
  • どのような治療計画を立案しても,利用価値が見出せない場合

です・
食いしばりや歯ぎしりがある場合には、硬いものを咬まないようにすることと、食いしばらないように注意をします。また、睡眠中は無意識に歯ぎしりをしてしまうのでマウスピースを使って歯と骨への負担を少なくします。
抜歯に至った場合、抜けた歯をそのまま放置すると、隣の歯が倒れてきたり、本来噛み合う反対のあごの歯が伸びて来て噛み合わせが悪くなり、食事ができなくなります。抜歯したままにしないようにしましょう。

奥から2番目の歯。グラつきが強く骨がほとんど溶けてなくなったため、抜歯しました

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