80歳の方の50％以上が20本の歯を持つ時代になりました。
しかしながら、その大部分の方は歯周病に罹患しています。この歯周病は、国民が歯を失う原因の第一位であるだけでなく、糖尿病などの全身疾患と関連することが確認されています。
歯周病に対する予防、治療、管理をしっかり行うことは、口や歯のことだけではなく、健康そのものを支えるためにとても重要なことなのです。
年齢の若いうちから、健康な歯列を維持していくことに優るものはありません。
歯周病は､歯肉炎と歯周炎をあわせた名称です。小学生から歯肉炎はみられ、だいたい30代歯肉炎になります。歯科医師や歯科衛生士にとっては日常の臨床の中で遭遇する頻度がとても高い疾患です。
しかし、その程度や自覚症状は様々で、歯周病が初期の段階であったりあまり痛みや腫れが強くないと積極的な治療に進まないことが少なくありません。
歯を抜くことやむし歯の治療と違い、歯周病の治療は回数が掛かることに加えて､１回の治療で誰もが気付くような目覚ましい変化が見られるとは限らないために、患者様も、術者も、症状が治まったり歯石をザッと取ったところで安心して、治療が終了になることがあるのだろうと想像をしています（多くのケースはそれで十分だと思われます）。
しかし、歯周病は患者様の毎日のブラッシングや全身の健康状態にも大きく影響を受けるので再発の可能性もありますし、歯石を完全に取りきるためには、歯石除去（スケーリングやSRP）を検査を挟んで二回り、中等度以上のケースではさらに局所麻酔のうえ歯ぐきを切開してまで徹底的にとる場合があります。
これは我が国だけではなく世界的に「歯周治療の標準的な進め方」として確立されています。これらの個々の知識や技術は､歯科医師や歯科衛生士にとって最も基本的なものの一つなので、国家試験でも毎年必ず出題されています。
しかし、上で述べたように臨床の現場では徹底的に実施しない場合もあって、必ずしも全ての歯科医療従事者がこの徹底的な治療の進め方に精通しているとは限りません。
様々な症状を訴える患者様の中で、この標準治療の必要性を見抜き、実践できる能力を身につけるためには、歯科医師や歯科衛生士が臨床業務に携わる傍らで、自ら最新の知識や技術を学び続け､専門性の高い研修を継続する必要があります。
本学会では、歯周病の治療に関する幅広い知識と技術を有する歯科医師・歯科衛生士を認定医・認定歯科衛生士として認定するとともに、さらに日本歯科専門医機構と連携して専門性の高い治療を的確に行える歯科医師を歯周病専門医として認定することを、国民に対する重要な責務と位置づけて、各認定資格制度を整備し、歯周病でお悩みの方をサポートする体制を整えてきました。
本学会では、歯周病に関して幅広い知識と技術を有する歯科医師、歯科衛生士を各々、認定医、認定歯科衛生士として認定する事業を行っています。
また、さらに専門性の高い治療を的確に行える歯周病専門医を日本歯科専門医機構（https://jdsb.or.jp）と連携して認定しています。
本学会では質の高い歯周病治療を全国民へ提供することを最重要課題と位置づけ、各認定資格制度を充実させ歯周病でお悩みの方をサポートする体制を整えました。以下に各資格を紹介します。
日本歯周病学会が認めた研修施設にて３年以上、所定のカリキュラムに従った研修を行って歯周病治療を行うための基本的な知識と技能を習得し、所定の試験に合格した会員です。
認定医資格取得後2年以上の研鑽を積み、日本歯科専門医機構が定めたカリキュラムを履修して所定の試験に合格した会員です。歯周病治療に関する専門的な知識と技能を持ち、国民の口腔保健と全身の健康増進に貢献すべく活動します。
認定医・歯周病専門医を責任ある立場で指導する能力があり所定の試験に合格した会員です。さらには、地域医療・地域歯科医療・歯科医師会等において、指導的立場で歯周病学・歯周治療学を推進します。
歯科医師と連携して歯周病治療を的確かつ効率的に実施し、長期にわたり国民の健康管理に貢献できる高いスキルと人間性を備えた歯科衛生士会員です。所定の試験に合格することが必要で、資格取得後も最新の学術知識、医療技術を習得するため自己研修に努めます。
これを読めば、
歯周病がどのような病気なのかを知ることができます。
