歯肉炎から病状が進行し、歯肉以外の歯のまわりの組織(歯槽骨など)にまで炎症が広がり始めた状態です。
「歯周ポケット」は4 mm未満、骨の吸収(溶けてしまうこと)は歯根長の1/3以下のものと定義されます。
この段階では、「歯が揺れる」などの自覚症状はないことが多く、患者さん自身で病気に気づくことは困難です。
歯科医院で定期的に、歯周組織の検査(歯周ポケットの測定)やエックス線検査を受けることをお勧めします。
軽度であったとしても、歯周炎は毎日のブラッシングだけでは十分な改善は期待できません。歯科医院での治療が必要となります。
治療の大きな目的は、歯や歯周ポケット内に定着したデンタルプラークを除去して、再度プラークが付着しにくい環境を作ることです。
代表的な内容としては、ブラッシング指導とスケーリング・ルートプレーニングが挙げられます。
正しい歯のブラッシング方法をご存知ですか?セルフケアの質を高めるための極意。
歯周病になってしまう患者さんの多くは、ブラッシングが適切に行えていません。
歯ブラシの選択、動かし方、プラークが残りやすい部位などを歯科医師、歯科衛生士から指導を受け、正しいブラッシング法を習得することが歯周炎を改善させることが重要です。
歯周病は一度改善しても再発してしまう病気です。今後歯周病を再発させないためにも、適切なブラッシング方法を身に着けましょう。
また、補助的清掃用具(デンタルフロス、歯間ブラシ、タフトブラシなど)の使用は、歯ブラシだけでは届きにくい部分の清掃に効果的です。
電動歯ブラシの使用もお勧めしますが、手磨きとは少し使用方法が異なりますので、指導を受けて練習する必要があります。
SRPは、セルフケアだけでは取り切れないデンタルプラークや歯石の除去に加え、歯根の表面を滑沢にすることを目的に行います。
SRPにはスケーラーという器具を使用します。
スケーラーの種類には大きく分けて超音波スケーラーと手用スケーラーがあります。
超音波スケーラーは主に歯石やプラークの除去を目的として使用し、手用スケーラーと比べて歯石の除去効果は高いです。
また手用スケーラーは、より細かい部分の歯石の除去や、歯根表面を滑らかにするために使用します。
最近では、レーザーを用いて行う歯科医院もあります。深い歯周ポケットでは治療中に痛みがでることがあるので、局所的麻酔を使用します。
被せ物の交換:辺縁の適合が悪くなり、プラークコントロールをしにくくしている被せ物(クラウンやインレーなど)が入っている患者さんに対しては、作り直しが必要となります。
噛み合わせの調整:噛み合わせが悪く歯や周りの組織への負担が大きくなってしまうと、歯周病が進行してしまいます。この場合、噛み合わせの調整を行うこともあります。
軽度歯周炎では、上記の治療法により歯肉の炎症が改善し、健康な状態にすることができます。
多くの場合、手術は行いません。中等度や重度に進行する前に治療を開始することが大切です。
また、炎症が改善した後も、定期的なメインテナンスによって健康な歯肉を維持・安定させる必要があります。
これを読めば、
歯周病がどのような病気なのかを知ることができます。