もしかして、

見えないところに

原因があるかも。

歯周外科治療を詳しく解説!

歯周外科治療とは?

歯周外科治療は歯周基本治療を繰り返し行っても、歯周病がよくならない(歯周ポケットが浅くならない)場合に実施される治療です。歯周ポケットが深くプラークが歯周ポケットの奥深くに入り込んでしまっている場合、歯周基本治療ではこれを除去できないことがあります。

そのため、これらのプラークや歯石を外科手術によって取り除くための治療が歯周外科手術です。歯周外科手術の中で最もよく行われている手術法が歯肉剥離搔爬術(フラップ手術)です。手術時間は通常1〜2時間程かかります。

フラップ手術は局所麻酔をして行います。そのため、手術中の痛みはほとんどありません。手術法は歯肉を切開し、歯の根面を露出させ、そこに付着しているプラークや歯石などをスケーリング・ルートプレーニング(前述)で徹底的に取り除きます。

その後、歯肉を元の状態に戻すために縫合します。場合によっては、歯肉に包帯をします。1週間後に包帯を除去し、抜糸します.。大きな手術ではありませんので、入院する必要はありません。

しかし、フラップ手術では歯周ポケットが完全に改善できない場合があります。このようなケースでは「切除療法」を行い,歯周ポケットをできるだけ浅くなるようにします。さらに、最近では歯周病で失われた歯周組織を再生させるための「歯周組織再生療法」も行われています。

他にも、歯周病で下がってしまった歯肉の見た目を治したり、歯肉の形態を直し歯ブラシを行いやすくするための「歯周形成手術」などの手術方法があります。

失われた歯周組織を再生させる「歯周組織再生療法」について、日本歯周病学会が解説します。

歯周外科治療のメリットとリスク

メリット

確実な感染源の除去および歯周炎の進行防止が可能です。ただし、術後も定期的な口腔管理が不可欠です。

また、歯ぐきが下がった場合、他の部位から採取した歯ぐきを患部に移植することで、プラークコントロールが容易になり、感染を受けにくい環境を構築できます。プラークコントロール時の歯ぐきの痛みも軽減されます。さらに、適応症であれば、歯ぐきが下がった部位に歯ぐきを移植することで審美性を回復できます。

リスク

術後の疼痛および出血が生じることがあります。術後に知覚過敏の症状が出て、冷たい水を飲んだ時やブラッシング時の痛みがしばらく続くこともあります。前歯の場合、歯肉退縮(歯ぐきが下がること)を起こして審美性が低下することがあります。

手術部位によっては、一時的に知覚麻痺の起きたケースが報告されています。また、非常に稀ですが、アナフィラキシーショックを起こしたケースも報告されています。医療行為には常にリスクは伴いますが、歯周外科治療は医療の原則である「感染源の除去」を確実に実行する手段といえるでしょう。

ただし、基礎疾患を有し、管理が十分に出来ていない患者、高齢者および妊婦には、治療侵襲によるリスクが高いと判断されており、可及的に非外科的治療で対応しているのが現状です。

歯周外科治療の実際

歯周外科治療の適応は大きく2つに分けられます。

歯周基本治療後にも深い歯周ポケットが残存する場合

明視野下で汚染された歯根を確実に郭清し、炎症性肉芽組織を除去することで、患部を治癒に向かわせます。具体的には、歯肉を切開して(フラップ手術と呼ばれています。)、細菌と歯石が付着した汚染された根面を丁寧に清掃します。

時間は30分から1時間程度かかります。通常は開いた歯ぐきを縫合して手術は終了しますが、しばしば歯周パックで患部を保護します。最近では、歯周組織の再生を促進させる術式が数多く報告され、フラップ手術単独よりも臨床効果が高いことがわかっています。

歯周ポケットは改善したが歯ぐきが下がっている場合

歯周病によって失われた歯ぐきを移植によって回復させ、感染を受けにくい環境に構築したり審美性の改善を図る手術(歯周形成手術)があります。硬い歯ぐきが回復すると、ブラッシング時の痛みが軽減し、日々のプラークコントロールが容易になります。また、前歯の審美性を改善できます。 

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